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趣旨
「スピントロニクス」は、「スピン」の自由度が関与した材料科学、凝縮系物理、デバイス工学、さらにはシステム応用の研究と開発を行う分野である。近年、スピントロニクス分野は学術及び応用技術の両面で急速な発展を遂げており、スピンと電荷、光、熱などの自由度の相互作用に基づく新たな量子現象や材料の発見、環境にやさしい社会基盤の構築をもたらす創エネルギー、省エネルギーのデバイスやシステムの開発が進められている。
東北大学は、このスピントロニクス分野で世界をリードしており、理学研究科、工学研究科、金属材料研究所、電気通信研究所、多元物質科学研究所、原子分子材料科学高等研究機構、省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター、国際集積エレクトロニクス研究開発センター、学際科学フロンティア研究所などで世界最先端の研究と開発が展開されている。さらにスピントロニクス国際共同大学院も設置され、国際的な研究と教育の両輪を推進する体制が揃いつつある。
このことから、世界をリードする研究グループが数多く存在する東北大学において、日本のスピントロニクス研究の国際競争力を向上させ、新たな学術や将来の社会的課題に対応するイノベーションを創出すると共に、国際的に活躍する次世代人材の育成を図ることが重要である。そのため、「スピントロニクス学術連携研究教育センター」(以下「センター」という。)を設置し、国内外研究機関との共同研究を促進する連携ネットワークの拠点としての役割を担おうとするものである。
設置目的
センターは、東北大学の学内共同教育研究施設等として、世界をリードする日本のスピントロニクス研究の国際競争力の向上、新産業の創出、現産業の強化及び次世代人材の育成を目指し、国内外の研究機関との共同研究を促進する連携ネットワークの拠点としての役割を担うことを目的とする。
4大学による連携ネットワークの構築と概算要求
国内の主要研究機関(大学、国研、企業)で活躍し、世界をリードする研究者の力を集結してネットワークを構築し、世界の研究機関とも連携してイノベーションを通じて社会へ貢献するため、東京大学、大阪大学、慶應義塾大学との4大学の連携により「『スピントロニクス学術研究基盤と連携ネットワーク』拠点の整備」を平成28年度概算要求し、共同利用・共同研究拠点の強化・充実にて政府予算案で認められた。4大学による連携ネットワーク拠点の概要は、以下の通りである。
各拠点の概要
下記中核拠点以外の研究機関との連携により、世界をリードする個々の研究グループや研究機関の間にネットワークを構築する。
- 東北大学:スピントロニクス素子・集積システム製造・評価
- 東京大学:スピントロニクス材料・素子製造・評価
- 大阪大学:スピントロニクス材料デザイン・素子設計
- 慶應義塾大学:量子スピントロニクス材料・素子製造・評価
目的
- 世界をリードする個々の研究グループや研究機関の間にネットワークを構築。
- 緊密な交流や共同研究を促進し、All Japanでさらなる研究の展開とイノベーションを目指す。
- 各拠点の特徴ある機器、設備の共同利用を促進し、ネットワーク型大規模研究施設を形成する。
- 異分野横断型(物理学、応用物理学、電子工学、磁気工学、材料科学、化学、情報科学および境界領域・新領域)の新しい科学技術の創造を当して、新産業創造と現産業強化、省エネルギー・環境調和型社会の実現を目指す。
- 創造性あふれ、世界と戦える(かつ協調できる)次世代の研究者・技術者を育成する。
- 国内外の研究者の相互交流の場、最先端研究成果に関する情報を共有する場を提供する。
- ホームページを立ち上げ、国内外へ研究成果の情報発信を行う。
